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飛ぶ鳥の献立

かく在りき 書くに溺れし 持て余す惰性と付き合うため

スキですイッチ(仮) 初稿

登場人物 ・太郎 ・一郎 ・ハンサム ・ナレーター 教室。太郎が何かひそひそやっている。 太郎 「あの、好きです。付き合ってください。」普通すぎるか。「初めて見たときから好きでした。付き合ってください。」ストーカーっぽいか。「今日は月が綺麗だね。…

“さる”からヒトを始めよう 初稿

登場人物 ・青年 ・医者 映像。「去る2045年。人工知能AIがとうとう人間の知能を超えようとしていた。世に言われる「技術的得異点』が迫っていたのだ。このままでは世界はAIに支配されてしまう。そこで、人間はAIを自らの体内に取り込み、合体する…

返らず

ー覆水盆に返らずー 村井は一人、居酒屋で酒を嗜んでいた。今年で四十二になるが、未だに人生の伴侶とは巡り会えていない。だからこそ一人飲みができる。これは独身である唯一の利点と言えるだろう。頭上のテレビから流れる野球中継を肴にぐいとビールを飲み…

憩に浸る

兎に角、珈琲屋が好きである。華やいだカフェのような場所では無く、古き良き所謂“喫茶店”だ。最寄の駅前には2つの行き着けを拵えている。顔を出せば決まって近住であろう御年寄が週刊誌や競馬新聞などに興じ、其々の生活を垣間見ることができる。この自由な…

感冒

移り気な季節に呼応するが如く、私は風邪を引いてしまった。喉の痛みを感じた頃には時既に遅く、徐々に悪化の一途を辿った。元より鼻の弱い私だが、この鼻水の量の多き事には苦悶している。澄んだ外界の空気を取り入れんとするも、上手く呼吸の出来ないもど…

蜜柑

机の上に置かれたみかんは見事に熟しており、殺風景な自室に橙色の明かりを灯していた。冬の季語として古くから日本人に愛されるみかん。今年も彼らの旬がやって来た。目の前の一つを手に取り、よく揉み込む。こうすると甘くなるらしい。指先から、つんと甘…

寒空に降ゆ

11月の東京に初雪が観測された。54年ぶりだと言う。どうりでここ数日、寒き日に身を縮めている。もはや寒冷や降雪への嫌悪などを差し置き、「今年も冬が来た」ことを万人が認めざる負えぬ状況となった。冬はこれまでの陽気な日々を一変させ、空を灰色一色へ…